手作りの鳥人間コンテスト?「HPA飛行会」開催

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2016年8月27日、人力飛行機チームが集まるイベント「HPA飛行会」が静岡県静岡市の富士川滑空場で開催された。HPAとは人力飛行機を意味する英語(Human Powerd Aircraft)の略だ。

もうひとつの鳥人間コンテスト

世界で日本ほど、人力飛行機の製作が盛んな国はない。その理由は読売テレビのテレビ番組「鳥人間コンテスト」という発表の場があるからだ。しかし近年は製作チームの増加もあって、出場を希望する全チームが出場できるわけではなく、かなりの数のチームが「1回休み」にならざるを得なかった。そこで、人力飛行機製作チームやOBが集まって自主的に運営する大会が2010年から始まった。

バラエティ色のない「玄人好み」大会

広大な琵琶湖ではなく長さ800mの滑走路で行われるHPA飛行会には、鳥人間コンテストのような派手さはないが、そのぶん玄人好みとも言える技術中心の趣向が凝らされている。

鳥人間コンテストは広い琵琶湖で大フライトが楽しめるが、天候の影響も受けるので運の要素も大きいという面もある。HPA飛行会では、離陸や着陸の位置が正確だったか、飛行が安定していたかなどを点数で評価する、フィギュアスケートのような競技形式だ。

また、鳥人間コンテストとの大きな違いのひとつに、厳格な安全審査がある。どちらも安全管理は参加チームの自己責任だが、HPA飛行会は設計、製作、飛行試験などで安全確認の資料提出を求めており、この安全審査の結果も競技の点数にカウントされるのだ。

飛行展示には2大学が参加

機体を持ち込んでの飛行展示には帝京大学と東海大学の2チームが参加した。いずれも鳥人間コンテストに出場できなかったチームで、HPA飛行会は年間活動の良い目標になっている。人力飛行機の飛行は風の弱い早朝に行うため、組み立てと機体展示は午前2時から始められた。また、飛行展示終了後も機体展示を行った。

帝京大学SkyProjectの機体は胴体と主翼が高い場所にあり、パイロットが低い場所になる、人力飛行機では最も多く見られるタイプ。世界記録を持つマサチューセッツ工科大学の人力飛行機「ダイダロス」がこのスタイルなので、ダイダロス型とも呼ばれる。主翼幅32m、機体重量は48kgと比較的大型の機体で、飛行距離の記録を狙った設計だ。スクールカラーの赤を大胆に取り入れた仕上がりも美しい。

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東海大学TUMPAの機体は非常に個性的だ。パイロットが胴体の上に乗ることで、ペダルとプロペラシャフトをギアボックスで直結している。長い脚で支えられたシルエットは零戦のような小型プロペラ機を思わせる。主翼幅23m、機体重量31kgと小型で、鳥人間コンテストのタイムトライアル部門に合わせた高速設計だ。

一般に、ダイダロス型は全体のバランスが良く、近年は鳥人間コンテストの上位をダイダロス型が占めている。その中で東海大学チームがあえて「非ダイダロス型」を選択し続けているのは、独自の物を作りたいという強い気持ちのあらわれだろう。飛行前の公開では多くの見学者が、その独特な設計を見て質問責めにしていた。

人力飛行機チームの間では、設計や製作を秘密にすることがほとんどない。どちらのチームも見学者の質問に率直に答え、意見交換の会話が弾んだ。

台風前の風、フライトは難関

さて、2チームの飛行は午前5時頃から始まったが、フライトは芳しくなかった。というのも、当日は台風10号が南海上にあり、やや風のあるコンディションだったからだ。秒速7~10m程度で飛行する人力飛行機は、数mのそよ風でも影響を受ける。ジェット機が台風の中で離陸するようなものだ。このため、あまり長距離のフライトは見られなかったが、ともかくも大会は成立。安全審査とフライトの両方で高得点を得たSkyProjectに軍配が上がった。

人力飛行機版コミケ?部品展示や即売会も

機体展示のほか、鳥人間コンテスト参加チームからも機体の部品など、様々なものが展示され、技術交流が行われた。また鳥人間コンテストで着用したチームTシャツの即売会やTシャツコンテストも開催されるなど、こちらも盛会だった。

なお、鳥人間コンテストは8月31日19:00~21:00、日本テレビ系列で放送予定だ。琵琶湖の空の熱い戦いにも期待して頂きたいが、大会出場できなかったチームにもHPA飛行会という発表の場があり、多くの「鳥人間」たちの交流があることも知って頂ければ幸いだ。

Image Credit: 大貫剛


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大貫 剛
東京都庁に技術職職員として11年間勤務後、民間宇宙開発を志して退職。ベンチャーを経て、宇宙開発や前職の経験を生かして公共事業に関する解説などの、情報発信をしている。宇宙作家クラブ会員。

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