インドの「GSLV」ロケット、通信衛星を打ち上げ 国産上段エンジン2基目の成功

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インド宇宙研究機関(ISRO)は8月27日、自国の通信衛星「GSAT-6」を搭載した「GSLV」ロケットの打ち上げに成功した。ロケットの第3段には、インド国産のロケット・エンジンが搭載されており、1基目の失敗を経て、今回で2基連続の成功となった。

ロケットはインド標準時2015年8月27日16時52分(日本時間2015年8月27日20時22分)、サティシュ・ダワン宇宙センターの第2発射台から離昇した。ロケットは順調に飛行し、離昇から約17分後に、衛星を予定していた静止トランスファー軌道に送り込んだ。

GSAT-6は、ISROが開発した通信衛星で、直径6mの巨大アンテナをもっている。このアンテナにより、インドを対象に、携帯電話などのモバイル機器にヴィデオや音声の通信サーヴィスを提供する。

衛星の寸法は2.1 x 2.5 x 4.1mで、打ち上げ時の質量は2117kg。設計寿命は9年が予定されている。

GSLVはISROが開発したロケットで、静止衛星の打ち上げに特化した構成をしており、GSLVという名前もGeosynchronous Satellite Launch Vehicle(静止衛星打ち上げ機)という英語の頭文字から取られている。

ISROはもう一つ、極軌道への衛星打ち上げに特化したPSLVというロケットももっており、GSLVはPSLVの技術を使い開発された。たとえば、GSLVの第1段とPSLVの第1段は共に同じ設計の固体ロケットで(ヴァージョンによって詳細は異なる)、またGSLVのブースターと第2段に使われている「ヴィカス」と呼ばれる液体ロケット・エンジンは、PSLVでも第2段に使われている。

GSLVの第3段には、当初ロシア製のKVD-1Mと呼ばれる液体ロケット・エンジンが搭載されていたが、現在運用されているヴァージョンでは、ほ同等の性能をもつ、インド製の「CE-7.5」エンジンが装備されている。打ち上げ能力は静止トランスファー軌道へ最大2.5トン、地球低軌道へは5.0トンとされる。

GSLVは今回で9機目の打ち上げとなったが、これまでに5機が失敗しており、成績は芳しくない。

GSLVの1号機は2001年4月20日に行われたが、第3段が予定より早く停止してしまい、計画より低い軌道に衛星を投入してしまった。2003年5月に行われた2号機、また2004年9月の3号機の打ち上げには成功したが、2006年7月10日に打ち上げられた4号機では、4基あるブースターのうち1基が離昇直後に故障し、ロケットは飛行経路を外れて爆発した。それでも2007年9月には5号機の打ち上げに成功し、挽回を図った。

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その後ISROは、GSLVの第3段エンジンを、ロシア製のKVD-1Mから、インドが自力で開発したCE-7.5に換装した。CE-7.5はKVD-1Mと同じ液体酸素と液体水素を推進剤として使用し、また性能も瓜二つで、これによりロシアへの依存から脱却することを見込んでいた。CE-7.5を積んだGSLVはマーク2(GSLV Mk-II)とも呼ばれ、GSLVの6号機で試験飛行が行われた。

そのGSLV Mk-IIの初号機は2010年4月15日に打ち上げられたが、まさにMk-IIの肝であるCE-7.5が点火2.2秒後に故障、打ち上げは失敗した。ISROは残っていた従来型のGSLV(GSLV Mk-I)の打ち上げを続けつつ、Mk-IIの開発を続けることにした。しかし同じ年の12月25日に7号機として打ち上げられたMk-Iは、離昇直後に液体燃料ブースターが故障し、53秒後に指令破壊され、またもや失敗に終わった。

そして2014年1月5日、CE-7.5をはじめ機体の各所に改良が施された上で、GSLV Mk-IIは打ち上げを再開し、無事に成功を収めた。今回の成功で、GSLV Mk-IIとCE-7.5は、共に連続で成功したことになる。

GSLV Mk-IIは今後も、通信衛星や、月探査機「チャンドラヤーン2」の打ち上げなどに使われる予定となっている。

またISROは、GLSV Mk-IやMk-IIの後継機となる、「GSLV Mk-III」というロケットの開発も進めている。静止トランスファー軌道への打ち上げ能力は4トンにもなり、日本のH-IIAロケットなどとほぼ同等の能力をもつ。

Mk-IIIはMk-1やMk-IIとは共通点がほとんど無い、まったく新しいロケットで、たとえば第3段にはCE-20と呼ばれるCE-7.5よりも強力なエンジンが搭載され、第2段にはクラスター化されたヴィカス・エンジンが使われるなど、いくつもの新技術が使われている。

GLSV Mk-IIIは2014年12月18日に、1号機の打ち上げに成功しているが、第3段がまだ完成していなかったため、質量や重心位置などを実機と合わせるため、タンク内に液体窒素が充填された、ダミー(模造品)が搭載されていた。

現在は、CE-20の地上での燃焼試験が行われている段階にあり、開発は比較的順調に進んでいる。実機の第3段を搭載した「完成形」のGSLV Mk-IIIの打ち上げは、2016年から2017年ごろに予定されている。

■GSLV Successfully Launches India’s Latest Communication Satellite GSAT-6 – ISRO
http://isro.gov.in/update/27-aug-2015/gslv-successfully-launches-india%E2%80%99s-latest-communication-satellite-gsat-6

Image Credit: ISRO

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鳥嶋 真也
ライター。宇宙作家クラブ会員。 宇宙開発、宇宙科学の分野で執筆活動を行っている。

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