X線天文衛星「ひとみ」復活か、後継機の検討を報告

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宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2016年7月14日、トラブルで失われたX線天文衛星「ひとみ」の後継機についての検討状況を文部科学省に報告した。

早期かつ確実な設計・製造を行うため、基本的には「ひとみ」の再製造とするが、「ひとみ」の調査で判明した問題への対応を取り入れていく模様だ。

大きな成果を上げ始めていた「ひとみ」

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X線天文衛星「ひとみ」はわずかな期間で失われてしまったが、その短期間でも軟X線望遠鏡の観測成果は目をみはるものがあった。ペルセウス座銀河団の観測により、超巨大ブラックホールやダークマターなど、高エネルギーの物理現象解明につながる、高精度の観測データが得られていた。これらの観測装置は日本だけでなくアメリカやヨーロッパも共同で開発しており、「ひとみ」の喪失で次期計画の2028年までX線天文観測が途絶えることが危惧されていた。

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一方、硬X線望遠鏡はNASAのX線天文衛星が現在運用中のためもあってか、「ひとみ」後継衛星は軟X線観測機器を中心とすると記載されており、硬X線観測機器は省略されるかもしれない。

アメリカとヨーロッパは、「ひとみ」に搭載されていた観測機器をもう一度製作することに同意しており、日本の決断を待っている。

言いだしっぺの責任を取るか

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X線天文観測だけでなく、巨大科学プロジェクトは国際共同研究が一般的だ。そんな中で、自ら手を挙げてリーダーシップを取って「ひとみ」を開発してきた日本が、自らの失敗で研究の空白を作ってしまったことは、国際的な科学研究の中での痛恨事だ。

今回の報告はJAXAとしてその必要性と可能性を説明したもので、実際に予算案に採用されるかは文部科学省や財務省の判断になる。また、他の宇宙科学予算を削って「ひとみ」後継機に回すのか、追加の予算を認めるのかでは大きな違いがあるだろう。

X線天文学で世界をリードしてきた日本が、国際的責任を重視して今一度、税金を使うことが認められるか。舞台はJAXAから霞が関へ移った。

Image Credit: 池下章裕、JAXA

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大貫 剛
東京都庁に技術職職員として11年間勤務後、民間宇宙開発を志して退職。ベンチャーを経て、宇宙開発や前職の経験を生かして公共事業に関する解説などの、情報発信をしている。宇宙作家クラブ会員。

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