国際宇宙ステーション、軌道修正に失敗 プログレスM-26M補給船のエンジンが噴射せず

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Image credit: NASA
 ロシア連邦宇宙庁(ロスコスモス)は5月16日、この日実施予定だった、プログレスM-26M補給船のスラスター(ロケット・エンジン)を使った国際宇宙ステーション(ISS)の軌道修正に失敗したと発表した。
 人工衛星は大気との抵抗で徐々に高度を下げており、特に巨大な建造物であるISSはよりその影響が大きくなるため、定期的にISSの後部にドッキングしている補給船のスラスターを噴射して、軌道を持ち上げる必要がある。これを「リブースト」(Reboost)と呼ぶ。
 ロシアのミッション管制センター(ツープ)が事前に発表していた計画では、今回のリブーストはモスクワ時間2015年5月16日4時14分(日本時間2015年5月16日10時14分)から、プログレスM-26Mのスラスターを901秒間にわたって噴射することとされていた。しかし、何らかの事情で実施できなかったという。
 ロシアのインターファクス通信によると、ISSのロシア側モジュールに搭載されているコンピューターから、何らかの理由で、スラスターの噴射を止める指令が出されたという。
 今回のリブーストは、来月上旬に予定されている、ソユーズTMA-15M宇宙船の地球帰還に向けたドッキング解除に備えたものでもあった。この失敗で、帰還の日程に影響が出るかは不明だ。また今月21日には、ISSに係留中のドラゴン補給船運用6号機の離脱も計画されているが、こちらも影響が出るかはまだ不明である。
 リブーストは、ISSの進行方向から見て後部の位置にあるズヴィズダー・モジュールにドッキングできるプログレス補給船でしか実施できない。かつては欧州の無人補給船ATVもリブーストを担っていたが、すでに引退している。また、ズヴィズダー・モジュールはロシア製で、ドッキング・システムの規格の違いから、米国や日本の補給船はドッキングできない。
 ズヴィズダー・モジュール自体にもスラスターは装備されているが、ズヴィズダーは2000年に打ち上げられたモジュールですでに老朽化が進んでおり、またスラスターももう何年も動かされていないため、噴射が可能かは不明だ。
 また、先日プログレスM-27M補給船が事故によりISSにドッキングできなかったことから、現在リブーストできる船はプログレスM-26Mしかない。もしプログレスM-26M側に何らかの問題があり、リブーストが不可能ということであれば、次の新しいプログレス補給船であるプログレスM-28Mの打ち上げを待つ必要がある。
 今のところプログレスM-28Mの打ち上げは7月上旬ごろとされるが、プログレスM-27Mの失敗原因が特定されていない以上、さらに遅れる可能性もある。
 ISSの降下率は月数kmほどのペースであり、今回のリブーストの失敗や、新しいプログレスが用意できないことで、すぐにでもISSが地球に落下するということはないが、今後の運用計画に影響が出る可能性はある。また、スペース・デブリ(宇宙ごみ)との衝突の危険がある際の回避行動もできないため、一刻も早いリブースト手段の確保が重要となる。
写真=NASA。
■Информационное сообщение
http://www.roscosmos.ru/21490/

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鳥嶋 真也
ライター。宇宙作家クラブ会員。 宇宙開発、宇宙科学の分野で執筆活動を行っている。

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