アリアンスペース社の株式、CNESが所有する分をASL社に譲渡 競争力高める狙い

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Arianespace
Image credit: ESA
 アリアンスペース社は6月16日、同社の株式のうち、フランス国立宇宙研究センター(CNES)が保有していた分を、エアバス・サフラン・ローンチャーズ(ASL)社に譲渡することで、フランス政府も含めた間で合意したと発表した。
 アリアンスペース社は欧州の大型主力ロケット「アリアン5」や、中型ロケットの「ソユーズ」、小型ロケットの「ヴェガ」を運用している会社で、人工衛星の商業打ち上げ市場の中で、最も大きなシェアを持っている。
 欧州では現在、アリアン5などを代替する新型の「アリアン6」ロケットの開発が進められており、その開発と製造を担う会社として、欧州の航空宇宙大手エアバス社と、フランスのサフラン社とが50%ずつ出資した合弁企業「エアバス・サフラン・ローンチャーズ(ASL)」社が、2014年12月に立ち上げられている。同社は現在すでに、現行のアリアン5のプライム・コントラクター(主契約者)として活動している。
 ASL社はこれまでアリアンスペース社の株式のうち39%を保有してきており、またフランスにおけるNASAのような政府機関であるCNESは35%を保有していた。今回の合意により、CNESが持っていた分がALS社に移り、ASL社が保有するアリアンスペース社の株式は合計74%となる。なお、残りの26%は引き続き、欧州各国のアリアンおよびヴェガの製造メーカーが計10社が保有するという。株式の譲渡は所定の手続きを経て、2015年7月に完結する予定とのことだ。またアリアンスペース社によれば、株主構成に変更はあるものの、これまで通り独立した企業として運営されるという。
 これにより、アリアンスペース社への国の関与が薄れ、欧州のロケット産業は開発から製造、運用まで、民間が主導権を握る形となる。現在、アリアン5やアリアン6の競争相手として、米国スペース社のファルコン9、ファルコン・ヘヴィという安価なロケットが台頭を始めている。ASL社の設立や今回の株主構成変更など、一連の産業構造の改革には、スペースX社などに対抗し、競争力を高める狙いがある。
 今回の発表に際し、アリアンスペース社のステファン・イズラエルCEOは次のように述べている。
「この度のフランス政府、CNES、ASL間の合意は、2014年12月にルクセンブルクで行われた欧州宇宙機関(ESA)閣僚級会議における打上げ産業の再編成に関わる決定に基づくものです。
 今回の合意は我々の変革にとって大きな一歩であり、次世代機アリアン6へと繋がっていきます。ASLによる株式保有数の増加は、今後の当社の信頼性をより強化するものです。すべての株主の皆様、ESA、CNES、ドイツ航空宇宙センター(DLR)およびイタリア宇宙機関(ASI) に対し、ここで改めて当社のコミットメントを示したいと思います。また、今後も当社の大切なパートナーであり続けるCNESの皆様に対し、心からの感謝を申し上げます。
 アリアンスペースは、アリアン、ヴェガ、ソユーズの3機のファミリーと卓越した技術をもつスタッフなど、あらゆる資源を駆使して、これからも商業打上げ市場を先導しつつ、欧州の自立した宇宙へのアクセスを実現していきます」。
■Arianespace – Press Release – Planned changes in Arianespace shareholding structure signal a major step forward in the refoundation of European launcher industry governance
http://www.arianespace.com/news-press-release/2015/6-16-2015.asp


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鳥嶋 真也
ライター。宇宙作家クラブ会員。 宇宙開発、宇宙科学の分野で執筆活動を行っている。

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